2012年5月14日月曜日

放射能、被曝。これから私たちがすべきこと


福島原発事故から12か月が経ちました。
政府は「収束宣言」を出しましたが、それを信じる国民がどれほどいるのか疑問です。
事故後から現在までの対応は、国民を守るどころか、汚染地に人々を留まらせ、さらに汚染食品の流通、瓦礫の拡散など、
私たちの願いとはまるで真逆の方向に進んでいるという印象です。

全国各地で異を唱える活動も盛んです。
わが子を必死で守ろうとするお母さんたち、汚染地に居ながらも必死に戦う方々。
みんなみんな間違っていません。
「今」できることを必死にやっているのですから。

ですが、どうでしょう?
政府や自治体はどうですか?
皆さんの願いとは裏腹に、ますます私たちを追い込むばかりです(もちろん、一部優れた首長さんもいらっしゃいますが)。
さらに、医師はどうでしょう?
様々な症状で病院に駆け込む患者の声に心から耳を傾け、「被曝の可能性だ」と言ってくれる医師はどれほどいますか?
いませんよね?
福島県立医大の山下傘下に取り込まれ、国、医師共々、ICRP基準を楯に国民を見殺しにしようとしている。
これが実態ではないでしょうか。

もし仮に「被曝の可能性がある」と診断した医師がいたとして、では、その先はどうなのでしょう?
どの放射性核種が体のどの部位にどれだけ存在しているのか、それが今どう体に対して悪さをしているのか、
そのことを証明し、的確な治療を施す医師や専門家が果たしているのでしょうか?
「まだ」いないのだとしたら「いつ」になったら現れるのでしょうか?
その時まで私たちは待たなければならないのでしょうか?

「その時」とはいつでしょう。
私やあなたや、あなたの大切な人、あなたの愛する子供は「その時」まで生きていることができますか?

放射能は、そんなに甘いものではありません。
私たちが待つ「その時」などお構いなしに体を蝕み、その尊い命を容赦なく奪います。
それが放射能です。

このことを、政府も医師も専門家も当然わかっているはずです。
ですが、「低線量」だとか「微量」だとかいう言葉で国民をだまし、被曝との因果関係をうやむやにしようとしています。

つまり、何を言いたいのかと言いますと、「医師の診断を待っていては間に合わない」ということです。
仮に医師の診断が出ても「適切な治療方法は現代医療にはない、或いは限りなく難しい」ということ。
取り込まれた核種もわからず、めくらめっぽうに様々な治療をし、病院をたらいまわしにし、
最終的には「原因不明」と言われるのがおちでしょう。
福島第1原発の吉田所長でさえ「被曝との関係性はない」と言われているのですよ?

既にそのような現象は起きているはずです。
「みんなのカルテ」に集まる様々な症状がそれを物語っているではないですか。
あちこちで起きている突然死、子供の甲状腺異常、鼻血や痣、異常に増えた感染症、
このことについて、判断するのはもう医師ではなく、私たちひとりひとりにかかっています。
「あなた」が自分で判断するしかないのです。「あなた」が被曝だと思うのならそうなのです。
ホールボディカウンターでもなければ、尿検査でもない、「あなた」が判断するのです。
なぜなら、そうしなければ間に合わないから。

フクシマは、世界に例のない大事故です。
残念ですが、放射能はあちこちにばらまかれました。
そして、現在のところ、医師たちにも手の打ちようがない、これが実情です。

今、私たちに必要なことは、医師や専門家を相手に被曝との因果関係を認めさせるために必死になるより先に、
「自分たちの命を自分たちで守る」ということではないでしょうか。
それにはもちろん、汚染地に居続けてはなりません。
出来る限り避難をすること、避難者を受け入れることです。
そして、これまでの医療に対する概念も通り越し、自分たちで施していくという方法にシフトしていく。
現実をしっかり受け止め、自分自身の体に耳を傾け、起きていることに対処していくことです。
一時的に症状が治まっても、体内に放射性物質が残っていれば、いずれまた何かしらの形で症状が出ると思います。
前提としては、体に放射能を入れない。これが大原則。
でも、もし放射能が体に取り込まれてしまったら、それを排出する。そのための対処をしていく。
今、この現状の中生きていくためには、それしかないと思っています。

私はそう考えます。

この考えに様々な意見があることも承知してます。

ですから、「自分で決めてください」ということです。

この考えに賛同くださる医師が、もしもいてくれたら、どれほど嬉しいか、どれほど心強いか、と思います。
今こそ、権威でも名誉でもない、「心」のある医師が必要なのです。


こちらへの投稿はこれで2度目になります。
以前、汚染車両に乗って被曝をした双子の件で投稿させていただいた者です。

まだ知らない方は、どうぞホームページで確認をしてください。「北海道からSTOP原発」http://2011kazu.web.fc2.com/

あれから、双子は、ずいぶん元気になりました。
ひとりは学校へ通い始めています。
もう一人は、まだ片足をびっこで歩きますが、以前と比べ格段に改善し、農作業の手伝いをしてくれてます。
何より、笑顔にあふれています。
双子は「希望の光」だと思っています。

あきらめたくない。
あきらめてほしくない。
「希望」は必ずあると信じています。

この希望を、現実のものとするために、行動をしようと考えています。
今生きている人間が、今後もその人生を生きていくために、です。
子供たちの未来が、夢や希望に溢れる未来になるように。

この想いが、どうか一人でも多くの方に届き、繋がりますように。
そして、全国の医師が、この現状に正面から向き合い、共に闘ってくれることを
心から願っています。

hiro twitter @89Geigers

2012年5月4日金曜日

県民健康管理調査についての考察

福島県民健康管理調査の第5回資料と第6回資料の甲状腺全県先行検査(現状確認のための検査)の結果を比較した。

第5回資料 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240125shiryou.pdf
第6回資料 http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240426shiryou.pdf


第5回は福島医大実施分の3765人(川俣町山木屋地区、浪江町、飯舘村)のみ記載で29.7%がA2判定(5mm以下の結節か20mm以下の嚢胞)。南相馬市と川俣町の山木屋地区以外の10677人の出張検査分の結果は含まれていない。理由は明示していない。第6回は38114人(第5回より広範囲)の35.3%が同じくA2判定だった。

第6回の結果は、第5回の結果に第5回の出張検査分と、追加実施分(伊達市、田村市、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、葛尾村)を加えてある。大熊町・双葉町等さらに多くの高線量区域の子供達の検査によりA2判定が29.7%から35.3%へ増加しており、これが検査人数の増加によるのか、時間と共に異常が現れているのか不明である。

平成23年度の検査の対象者は、国が指定した警戒区域等避難区域の市町村の対象者である。対象者は、平成23年3月11日に0歳から18歳までの県外避難者を含む全県民である。具体的には平成4年4月2日から平成23年4月1日までに生まれた県内居住者(県外避難者を含む)である。対象者合計47766人のうち38114人が受診し、受診率は79.8%であった。9652人が甲状腺検査を受けていないことになる。受診した県外居住者は5183人で、県外居住者の受診率は13.6%であった。

平成24年度の検査の対象者は、3月時点での環境放射線量の高かった市町村順に行われるそうだ。検査実施市町村は、福島市、二本松市、本宮市、桑折町、天栄村、国見町、白河市、西郷村、泉崎村、郡山市と三春町であり、予定対象者数は154894人である。(県外避難者4653人を含む。)計画としては、当分の間は医科大学を中心とした検査実施体制をコアとして検査を実施しながら、県内検査拠点(県内医療機関)においても実施できる体制を整えていくらしい。また、県外避難者のために、県外検査実施機関も認定していくそうだ。

調べる人数が増えれば増えるほど、異常の発見も増える可能性はある。実は報告をきちんと読むまで検査結果が福島県全域を含んでいないのも知らなかった。

第6回ではB判定(5.1mm以上の結節や20.1mm以上嚢胞)が第5回の26人(から186人に増え、平成24年4月12日時点で14名が二次検査(詳細な甲状腺の超音波検査、血液検査、尿検査)を受けている。

北海道深川市立病院内科の松崎道幸医師によると、第6回の結節頻度の1.0%は、ベラルーシ共和国ゴメリ地域のチェルノブイリ事故後5-10年の結節検出率の1.74%に近い。これは事故後1年足らずの事である。しかし第5回では高線量区域の川俣町・浪江町・飯舘村だけで結節頻度が2.2%だったから、さらに高い。

チェルノブイリ事故に影響を受けたベラルーシ共和国で使われている、甲状腺結節に値する言葉の定義がのう胞も含むのであれば、福島県でのこれまでの結節とのう胞の検出率が36.1%と言うのは、1.74%よりもはるかに高い。

先行検査が進むにつれ、時間も経って行く。細胞分裂が活発な育ち盛りの子供達においては、時間と共に、甲状腺細胞の異常も促進するのではないだろうか。

第5回資料には甲状腺検査結果の評価について、と言うページがあるが、第6回資料にはない。

第5回資料によると、A判定は次回(平成26年度以降)の検査を勧めると書いてある。A2判定の5.0mm以下の結節や20.0mm以下ののう胞は、「通常の診断においても、次回の検査までの間に自覚症状などが出現しない限り追加検査は必要とされております。」だそうだ。「甲状腺超音波検査を実施した場合、通常でもそれなりに多く認められる良性所見とされており、こうした小結節・小のう胞は治療等の対象とならず、経過観察とされています。また、超音波検査のみの診断で十分であり、追加検査は必要ありません。」とも書いてある。

実施計画によると、「平成26年4月以降は、本格検査として20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごとに検査を行い、生涯にわたり県民の健康を見守る予定。」だそうだ。

「現時点では、放射線の影響は考えにくく、二次検査の対象となったB判定の方の大部分は良性の結節であることが予想され、以前から存在していた可能性が高いと考えられます。」と書いてあるのを読み、疑問がわいた。私は小児科医でも甲状腺専門医でもない。実際に小児においてこのような結節やのう胞は普通なのかを知りたいと思い、数ヶ月前からコンタクトを取っている、小児科医であり、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故以来30年以上反核運動を続けて来たオーストラリアのヘレン・カルディコット医師(73歳)に尋ねてみた。
(カルディコット医師の2011年3月18日の記者会見 http://www.youtube.com/watch?v=yIZZZGCruvY

カルディコット医師の返事は次のようであった。

「この子供達は追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や 結節などの全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきです。 こういった甲状腺異常が一年も経たないうちに現れるというのは早過ぎます。普通は5-10年かかるものです。これは、子供達が大変高線量の被曝をしたこと を意味します。 もしも悪性なら、甲状腺の全摘出が必要です。 子供達に甲状腺結節やのう胞があるのは、まるで普通ではありません!」

また、平時における子供達の甲状腺エコー検査のデータがないと思っていたら、山下俊一が共著者である2000年の研究論文内にあった。
https://docs.google.com/file/d/0B6kP2w038jEAQklDRlpNdk5RN2s/edit

これによると、長崎の250人の7-14歳の子供達では結節は0%でのう胞は0.8%であった。

県民健康管理調査で述べられている事と食い違っており、カルディコット医師の返事と符合する。

例え甲状腺結節やのう胞が良く見られるものであり事故以前から存在していたとしても、放射能被曝の影響下においては、サイズが早く大きくなったり、悪性化の可能性とスピードが増える可能性はないのか?実際に事故前に甲状腺エコー検査を受けていた人のデータがあれば比較する事ができるかもしれないが、それでも個人差があるだろう。万が一を予測し、最悪の設定を考えて対処するのが普通ではないかと思う。「おおむね安心」などと言われて安心できる親がいるだろうか。

そして、福島県しか公的な甲状腺エコー検査をしていないようだが、関東地方だけでなく色々な場所で子供だけでなく大人の甲状腺疾患も増加しているようだ。関東から避難した子供にも甲状腺異常は見つかっている。全ての症例が明らかになったら、ものすごい数になるかもしれない。

起こり得る甲状腺疾患はガンだけではない。甲状腺エコー検査だけでなく、甲状腺の血液検査も行うべきだ。しかし何よりも大切なのは、空間線量測定だけでなく、土壌検査によって福島第一原発から放出された測定し得る全ての放射性核種の測定を行い、放射能汚染の正しい情報を人々に知らせ、汚染のひどい場所から大人も子供も避難させる事だ。



リポート:平沼百合
twitter @YuriHiranuma